■スタンド下には「大河ドラマ館」が

 さて、前述のように、現在はスタジアム周辺が工事中のため、メディア受付までスタジアムの外側を4分の3周ほど歩かされてしまった。しかし、おかげでスタジアムの外側をたっぷりと見学することができた。スタジアムの1階にフードコートやショップなどが入っているのが、このスタジアムの大きな特徴だ。

 バックスタンド下は「麒麟が来る 京都大河ドラマ館」という施設になっていた。

 2020年のNHKの大河ドラマ「麒麟が来る」は戦国の武将明智光秀が主人公だが、天正10年(1582年)に明智光秀が主君、織田信長を討つために本能寺に向けて出陣したのは亀岡市にある亀山城だった。つまり、亀岡は“光秀ゆかりの地”というわけで、大河ドラマ館を設けて観光PRに乗り出しているわけだ。

 NHK大河ドラマの影響力は大きいらしく、“ゆかりの地”ではどこも大河ドラマを大々的に取り上げる。神戸のノエビアスタジアム付近はかつて平清盛が日宋貿易を行った港「大和田泊」があった場所、つまり清盛の“ゆかりの地”だった。そこで、2012年の大河ドラマで平清盛が取り上げられた時には、スタジアムのそばに平清盛の展示館が開設されていた。

 だから、「大河ドラマ館」というのはとくに珍しいものではないのだが、それがスタジアムのスタンド下に開設されたというのは、おそらく史上初めてのことだったはずだ。

 実は、スタンド下スペースの商業利用という面では、日本は世界から大きく後れている。

 スタンド下には必ず大きなスペースがある。そこを利用して様々な施設を設ければ、試合のない日でもスタジアムに多くの人々が集まり、スタジアムはコミュニティーの中心となり、街のシンボルのような存在となる。そして、人々が集まれば、スタジアムの運営者にとっては大きな収入源となるのだ。

 20世紀末以降に建設された西ヨーロッパのスタジアムでは、スタンド下のスペースはショッピングセンターやホール、ホテルなど様々な用途に利用されているところが多い。先ほど取り上げたバーゼルのザンクトヤコブにはショッピングセンターと同時に老人施設としても使われていることで有名だ。

 他の都市から来たゲストをスタジアム内のホテルやホールで接待すれば、そのスタジアムが有名であり、そこを本拠地として使用しているチームが人気チームであれば、客人たちを大いに喜ばすこともできる。

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