■目ざすのは「カウンターとポゼッションのハイブリッド」
さて、徳島を率いるリカルド・ロドリゲス監督は、新シーズンからJ1の浦和レッズを率いることになった。46歳のスペイン人指揮官を招へいした理由について、浦和の戸苅淳フットボール本部本部長はこう説明している。
「2020年に掲げた『即時奪回』『最短距離でゴールを目ざす』サッカーに、常に『主導権』を持ち、より『攻撃的』で、ハイブリッドなサッカースタイル(カウンタースタイルとポゼッションスタイル)を実現することを目的に、リカルド・ロドリゲス監督を招聘することにしました」
20年シーズンの徳島が見せたサッカーは、まさしくポゼッションとカウンターのハイブリッドだった。即時奪回、主導権を持つ、より攻撃的といったワードも、ロドリゲス監督のサッカーから明確に連想されるものだ。
システムと選手のタイプから徳島のサッカーを考えていくと、「流動性」というキーワードが浮かび上がってくる。
今シーズンは3-4-2―1でスタートし、その後は4-2-3-1や4-4-2でも戦っていった。また、ポゼッション時はGK、両CB、ボランチ1枚が最後方からビルドアップをしていき、3バックなら両ウイングバック、4バックなら両サイドバックはかなり高い位置を取る。タッチライン際へ張り出すだけでなく、内側にポジションを取ることもある。
ディフェンスの局面でもポジションを変える。3バックが4バックになったり、5バックになったりする。4-2-3-1でも4-4-2になる。
3バックと4バックの併用も、攻撃と守備で立ち位置が変わるのも、現代サッカーでは例外的でない。それでも、浦和の選手たちはこれまで以上に個人のキャパシティを増やしていくことが求められるだろう。選手たちが複数のシステムに適応することで、ロドリゲス監督のサッカーは形作られていくからだ。