観客がわくわくするのと同じように、取材していながらもわくわくする時がある。ビッグチャンスが生み出された時や、ゴールを決めた選手が目の前に走ってきた時はもちろんだが、単純に選手の動きや表情そのものを楽しみながら撮影していることも多々ある。
今回は、J1で活躍している中から、撮影していて面白い選手たちを紹介する。撮影している時の気持ちや、写真になった時の様子を踏まえてピックアップした。
スタンドから写真を撮っているファンの方々や、雑誌で情報を得ることがほとんどだった時代を経験したことがある方々だけではなく、サッカーの楽しみ方としてこういう切り取り方もあり得る、ということを、写真ではなく動画でサッカーに触れることが主体になっている若い世代のサポーターの方にも知っていただければ幸いだ。
◎顔がよく見える選手
横浜FCで頭角を現した時は、ドリブルが得意な元気印、という印象だったが、徳島ヴォルティスでリカルド・ロドリゲス監督のサッカーの中心として活躍すると、初のJ1となる大分トリニータでは背番号が10になった。もともとの持ち味だった豪快なプレーの中に、前述の徳島、そして大分の片野坂知宏監督の下で磨かれた高度な連携に裏打ちされた意外なプレーも見せてくれる。背後が見えているかのようなヒールでのパスは、周囲の観察だけではなく、日頃の練習から培った周囲との連係で成り立つものだ。その意外性のあるプレーがここぞという絶妙なタイミングで繰り出されるため、こちらもうっかり油断していてビックリさせられることが多い。また、相手の動きを見極めるために、足を振り上げながらも目線が最後まで前を向いている。プレー中のいい場面で顔がハッキリ見えている選手だ。
また、そういう時の足の動きが大きい選手でもあり、ボールへの足の出し方やキープの仕方も映える。