「2021年JFL」昇格チーム決定(2)昇格組が「初年度に苦闘する」理由の画像
元鹿島で現在TIAMO枚方に所属する野沢拓也(2014年)写真:アフロ

※第1回はこちらから

日本サッカーのリーグ構成では、アマチュア(ノンプロ)の最高峰は日本フットボールリーグ(JFL)である。2020年は、そこで戦うことを目指して132チームが、日本全国を9地域に分けて、それぞれの地域で覇権を競った。その最終決戦の場である「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ」(通称「地域CL)が、11月19日から23日にかけて開催された。

■JFL昇格チームは初年度に苦労する

 ここで「差」と呼んだのは、チームの戦力の差であり、また運営上、経営上の差のことだ。

 かつて、2011年には柏レイソルがJ2からJ1に昇格して初年度で優勝したことがある。最近ではJ1のトップとJ2の戦力差は当時に比べれば拡大しており、かつての柏のようなことが簡単にできるとは思えないが、最近でもJ3にいた大分トリニータは、片野坂知宏監督の指導を受けて2016年にJ3リーグで優勝すると、J2を2シーズンで通過し、J1でも旋風を起こした。

 しかし、地域リーグのチームが「地域サッカーチャンピオンズリーグ」を勝ち抜いてJFLに昇格しても、すぐにJFLで上位に食い込むことはかなり難しいタスクとなる。一般的に、昇格したチームは翌年JFL残留にかなり苦労するものだ。

 とくに「地域サッカーチャンピオンズリーグ」でパスをつないでビルドアップするテクニカルなサッカー・スタイルで勝ち抜いたチームは、JFL初年度ではかなり苦戦を強いられることが多い。

 たとえば、2017年のこの大会で優勝してJFL昇格を果たしたコバルトーレ女川(宮城県)やその翌年に優勝した松江シティFCがそうだった。

 どちらも、昇格を懸けた「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ」では「こんなに見事なサッカーをするチームがあるんだ」と驚かされたが、JFLではそれが通用せず、女川は1年で降格。松江は2019年のJFLでは15位でなんとか残留を果たした。

 逆に、むしろ「質実剛健」のハードなサッカーをするチームの方がJFLでは結果を出せるようだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3