■TIAMO枚方が志向する“理想のサッカー”
今シーズン、初めて昇格した2チームのうち「高知ユナイテッドFC」は1回戦総当たりの15試合で争われているJFLで14位と苦しんだが、同じく初昇格の「いわきFC」(福島県)は6位に食い込んだ。いわきFCは、フィジカル強化を武器に日本のサッカーに新しい波を起こそうとしているチームだ。
地域リーグでは、相対的に個人能力で相手を上回ることができ、ボールを支配し、パスを回して“理想のサッカー”を追求して勝ち抜いて昇格を勝ち取ったチームが1段階レベルが上の全国リーグ(JFL)では、プレー強度が地域リーグよりかなり上がるために思った通りの、“理想のサッカー”が通用しなくなるという現象なのであろうか。
今年の大会で昇格を決めたTIAMO枚方も、どちらかと言えばテクニカルな、パスをつなぐサッカーを志向している。とくに、野沢拓也や二川孝広のパスの精度などは地域リーグのレベルをはるかに上回っている。しかし、プレー強度が高いJFLでの戦いでは、野沢拓也や二川が徹底マークにあって、地域リーグ時代のように自由にプレーできなくなってしまうだろう。
実際、「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ」でも、2戦目、3戦目は相手のプレー強度が上がると野沢は自由にプレーすることができず、疲労が蓄積したせいもあったろうがあまり活躍できず、3戦目のFC刈谷戦では見せ場を作ることなく、前半だけで交代となった。
ただ、TIAMO枚方がこれまで戦ってきた関西リーグは、女川の所属していた東北リーグや松江の所属していた中国リーグと比較して強豪チームも多く、プレー強度も高かったはず。TIAMO枚方のサッカーがJFLでどこまで通用するのか。そして、TIAMO枚方が来シーズンに向けてどのような編成で、どのようなスタイルで挑むのかも含めて注目したい。