ルヴァン杯決勝 FC東京の「戦略と未来見取り図」(1)前哨戦は「負けるが勝ち」?長谷川健太の深謀の画像
FC東京の長谷川健太監督 撮影/中地拓也

11月7日にYBCルヴァンカップの決勝戦がある。カードは柏レイソルFC東京。その10日前に行われ、まさに前哨戦となったJ1リーグでの同カードの戦いの勝者は柏レイソルだった。この試合、FC東京は大胆なターンオーバーを行なった。そこには、他のクラブではなかなか実現できないであろう、ある戦略が秘められていたのだ。

■いつもと違ったFC東京

 10月28日に行われたJ1リーグ第30節のFC東京対柏レイソルの試合は、10日後に行われるJリーグYBCルヴァンカップ決勝の「前哨戦」として注目された試合だった。

 この試合、キックオフ直後からいきなり何度かのチャンスをつかんだのはFC東京の方だった。

 2分に左サイドからアダイウトンがドリブルで持ち込んだ場面を皮切りに、直後にも右サイドバックの中村拓海が縦に入れたボールにレアンドロが反応。オフサイドにはなったが、絶妙のタイミングでのパス出しだった。さらに4分にはFKからのボールを原大智がドリブルで持ち込み、品田愛斗がつないでレアンドロがシュート。直後にも渡辺剛のロングボールを原が追って折り返し、レアンドロがボレーシュートを試みた。

 一連のFC東京の攻撃を見ていて、僕は「おやっ」と思った。いつものFC東京と何かが違ったのである。

 今シーズンのFC東京は渡辺剛の成長もあって、渡辺と森重真人とのセンターバックが強力で、前線では永井謙佑の俊足と攻守にわたるディエゴ・オリヴェイラの献身的な動きが攻撃を支えていた。いうならば攻撃面では「個の力」を前面に押し立てた戦い方だった。

 ところが、柏戦の立ち上がりのFC東京は流れるようにパスをつないだ攻撃によってチャンスを作っていたのだ。パスを受ける動きとパスを出すタイミングがうまく連動した攻撃に、僕はいつものFC東京とは違った印象を受けたのだった。

 そうした違和感を覚えた原因は、この日のFC東京が思い切ったターンオーバーを使ってきていたため、MFから前のメンバーが普段とはかなり変わっていたからだった。

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