■柏レイソルがライバルに勝利したことの意味

 もちろん、同一リーグで長年戦っている相手同士なので戦力分析は互いに難しいことではない。いくら隠したとしても、柏のスタッフはFC東京の戦力を完全に把握しているはずだ。

 しかし、偵察や映像による情報というのは、選手が実際に対戦してピッチ上で体感して得る情報とは性質が違う。

 長谷川監督は、DFラインには中村拓海-渡辺剛-森重真人-小川諒也という現時点での“ファーストチョイス”の4人を並べた。ルヴァンカップ決勝でも、同じ4人が先発するはずである。

 彼らが先発したことによって、FC東京の最終ラインの選手たちは柏のオルンガ、クリスティアーノ、江坂任がそろったJ1リーグ屈指の攻撃陣を“体感”できたのだ。オルンガの得点はなんとか阻止したものの、そのオルンガのアシストによってクリスティアーノに2ゴールを許してしまったという苦い経験も、決勝戦に向けては重要な“情報”となったことだろう。

 柏は、ライバルに勝利したことによって自信と良いイメージを得ることができたが、柏の選手たちはFC東京の永井謙佑やディエゴ・オリヴェイラとのマッチアップは経験できなかった。逆に、FC東京は相手の攻撃陣を“体感”し、同時に自分たちの攻めの手札を隠すことにも成功した。

 では、「前哨戦」を通じて両チームが得たものはどちらが大きかったのか……。その答えは、11月7日に明らかになる。

※第2回に続く

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