■負けるが勝ちをもくろむ長谷川監督

 この試合、結果はご承知のように1対3でアウェーの柏が快勝した。オルンガが自ら得点はできなかったものの、パス出しのうまさという魅力を見せつけ、クリスティアーノが2ゴールを決めた。

「前哨戦」で勝ち切ったことによって「ルヴァンカップの決勝でも柏が優位に立った」という見方もできるが、それほど事は単純ではないだろう。この試合ではFC東京がターンオーバーを使っていたことに注目すべきだ。

 FC東京は11月下旬からカタールのドーハで開催されるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の集中大会に出場するため、Jリーグの日程を前倒しして戦っている(第30節が10月末に行われたのもこのためだ)。

 過密日程の中で行われているJリーグの中でも、ACLに出場する3クラブ(FC東京のほか、横浜F・マリノスヴィッセル神戸)の日程はさらに“超”過密になっている。実際、FC東京は柏戦の後、中2日で首位を独走中の川崎フロンターレと対戦することになっていた(相手の川崎はなんと中13日で、引退を決めていた中村憲剛の「バースデー・ゴール」によって川崎が競り勝った)。

 こうした日程を考えれば、FC東京の長谷川健太監督にとって柏戦でのターンオーバーは避けられない選択だったのだろう。

 同時に、長谷川監督はルヴァンカップ決勝を見通してこの試合で主力を温存したのだろう。つまり、ライバルの柏に対して、“手札”を隠したのだ。

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