J1昇格争い九州ダービー(2)手倉森長崎に見えた強化点と「空白の1か月」新潟の重大コンプライアンス違反【戸塚啓J2のミカタ】の画像
手倉森誠監督(V・ファーレン長崎)  写真/中地拓也
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■2ケタ得点を記録する選手がいれば…

 J1への自動昇格を勝ち取った2位以内のチームを、過去5シーズンまでさかのぼってみる。そこではふたつの傾向が読み取れる。「失点を1試合1点以下に抑えている」ことと、「2ケタ得点を記録した選手がいる」ことだ。

 1試合1点以上の失点を喫したのは、18年の大分トリニータと15年のジュビロ磐田の2チームだけだ。その他の8チームは1試合1失点以下、つまり42失点以下でフィニッシュテープを切っている。

 オルンガクリスティアーノ江坂任らを擁し、爆発的な攻撃力が強烈な印象を残した昨シーズン優勝の柏レイソルも、失点はわずかに「33」なのだ。過去5シーズンに自動昇格した10チームでは、16年の北海道コンサドーレ札幌と並んで最少失点である。

 2ケタ得点を記録した選手は、全10チームに共通する。

 19年シーズン優勝の柏では、前述のオルンガ(27点)、クリスティアーノ(19点)、江坂(11点)のトリオが2ケタ得点を叩き出した。同シーズン2位の横浜FCにはイバ(18点)がいた。

 18年シーズンのJ2を制した松本山雅FCでは、セルジーニョが11得点を記録している。2位の大分では藤本憲明と馬場賢治が12点を、後藤優介三平和司が10点をマークした。

 15年より以前にさかのぼっても、2位以内で昇格したチームには2ケタ得点を記録した選手がいる。例外は12年の湘南ベルマーレだが、FW馬場賢治が9得点、FWキリノ、DF遠藤航、MF菊池大介の3人が7得点、FW高山薫が6得点、MF岩上祐三、FW古橋達弥、FW大槻周平の3人が5得点をあげている。「どこからでも点が取れる」という状況が作り出されていた。

 北九州戦を終えた長崎は、得点がリーグ6位タイの36、失点がリーグ最少7位の29だ。プラス7の得失点差はリーグ6位タイとなっており、攻守のバランスは悪くないと言える。

 長崎の手倉森監督は、得点源と見なされる選手の不在を嘆いていない。1勝もできずに終わった9月を振り返るなかで、「相手を崩せてはいない、ということはない。みんなで勝ちを引き寄せる努力をすれば、誰かが取って上位へのし上がっていけると思っている」と話している。

 絶対的な得点源が不在のなかで、長崎がJ1昇格を手繰り寄せるには、これまで以上に守備を強みにしていく必要がある。プラス7の得失点差を少なくとも15以上、できれば20以上まで持っていくことができれば、北九州と分け合った勝点1が最終的に意味を持ってくるはずだ。

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