■10月18日/J1第23節 浦和―仙台(埼スタ)
大量得点を奪ったばかりか、完封勝ちした後とは思えないような光景だった。試合終了を告げる主審のホイッスルが鳴ると、浦和レッズの選手のうち何人かがピッチに倒れ込んだ。倒れ込むまでいかなくても、座り込む、あるいは、体を曲げて肩で息をする選手がいた。
6-0。これまで得点不足に嘆いていたチームであれば、チームメイトと集まってその喜びを爆発させるのが普通だろう。この日のレッズは、勝利に飢えていた。同時に、得点に飢えていた。喜ぶ体力も残っていないほど、ピッチを走り続けたのだ。
今季の浦和は勝ったり負けたりを繰り返し、安定しているとはいえない。直近のホームゲームである、横浜FC、FC東京、名古屋の埼玉スタジアム3連戦で、まさかの3連敗を喫した。しかも、得点は「0」。サポーターの前で、何が何でも白星を掴む必要があった。
その焦燥を打ち破ったのは、試合開始わずか8分のことだ。MF長澤和輝が右足でゴール。しかも、5人の選手が流れるように絡んだ美しいゴールだった。DF橋岡大樹が一度奪われたボールを自ら奪い返すと、FW武藤雄樹が前線にいたFW興梠慎三へパス。興梠は、縦に走り抜けたMF汰木康也にスルーパスを出すのだが、汰木はそのボールをヒールで後方に残す。それを、長澤が冷静に蹴り込んだのだ。