■レッズランド終焉か、訪れた深刻な危機

 以後、レッズランドは会員制のクラブ(一般貸し出しもあり)として成長し、その間に施設も充実させた。スポーツ施設だけなく、アグリフィールド(農園)、デイキャンプエリアなども備える「総合スポーツランド」となっていく。スポーツ施設は週末になるとすべてが埋まり、たくさんの人の笑顔が荒川の河川敷にあふれた。

 だがいま、目の前であふれているのは、茶色い濁水だった。

 レッズランドが誕生して15年。荒川の支流である鴨川の氾濫を防ぐために河川敷に水を入れ、レッズランドが1メートルほど「冠水」したことが4回あった。そのときには水はすぐに引き、実害は大きくはなかった。しかし今回、水はピッチレベルから5~6メートルの高さに達していた。「冠水」ではなく、「水没」だった。復興には相当な時間と費用がかかると、容易に想像できた。

 レッズランドは以前は株式会社だったが、より公益的な性格を明確にするため、2017年に一般社団法人となった。だが、株式会社なら資本金にあたるその「基金」を浦和レッズが100%負担する「子会社」であることには変わりはない。何より大事なのは、浦和レッズの意思だった。

 「レッズランドが浦和レッズのお荷物になっている」という話が以前からあった。「レッズランドがあることで、チームを強化する資金が圧迫されている」と不満をもらす人もいた。そうしたなかで、未曾有の水害を機に、レッズランドを閉鎖するという話も出るのではないかと、私は考えていた。

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