■復興をきめた浦和レッズの強い意思

「選択肢としては、たしかにありました」と、レッズランド「キャプテン」の松本さんは語る。

「何より、こうした豪雨が今回だけで終わるのか。また来年にきたら……。20年に一度、50年に一度ではなく、何年かに一度ということもありうるということから、やめるという選択肢があったのは確かです」

 だがレッズランドの代表理事でもある浦和レッズの立花洋一代表は迷わなかった。「やめるわけにはいかない」と、即座に復旧を決めたのだ。「Jリーグ百年構想を具現化し、地域の人びとのスポーツ生活に寄与する、浦和レッズだけにしかない施設は、絶対になくさない」と、立花代表は断言した。

 国土交通省に復旧計画を出すにあたって、まずは復旧にいくらかかるか、見とおしを立てなければならない。そしてその資金をなんとか調達しなければならない。工事会社から届いた見積書を積み上げると、「1億5000万円」に及んだ。基金が1億5000万円、毎年の事業規模が2億円から2億5000万円のレッズランドには過大な額だった。

 浦和レッズの出資企業の中核をなす三菱重工業のバックアップもあった。1億5000万円に加えて日常の運転資金や将来対策を含め5000万円、計2億円の「基金積み増し」を求めたレッズランドに対し、三菱重工が理解を示し、2億円の積み増しが決まった。「復旧」のための資金のめどはついた。レッズランドの基金は3億5000万円となり、「親会社」である浦和レッズ(資本金2億7280万円)を超えることになった。

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