■堆積する泥が3000トン

 10月13日の朝に5~6メートルに達していた水深は、翌日には1メートルほどまで下がり、数日でほぼ全部引いた。残ったのは、厚く堆積した泥と、植物の残骸など流れ込んだ膨大な量のゴミだった。レッズランドを5~6メートルの深さで覆った水が残した泥は、1立方メートルで1.6トン、総量は2000立方メートル、3000トンを超えた。それがほぼそのまま、レッズランドの表面に残されたのだ。

 10月18日に立花代表理事を本部長とする復旧対策本部の第1回会議が開かれ、被害状況が報告されて作業方針を決めた。レッズランドは、変電設備が使用できなくなっており、場内の散水などに使用する井戸ポンプも修理の必要があった。電気も水も使えない状況だった。

 10月下旬、作業はまず井戸の修理から始まった。この井戸は、レッズランドの敷地を含むこのあたりの農家が共同で設立した組合の所有物だったが、レッズランドでは天然芝にまく水などをすべてこれに頼っていた。飲むことはできないが、レッズランドの重要な「生命線」だった。そして運動施設の上に厚く積もった汚泥を除去するには、この井戸水が不可欠だった。

 作業は人工芝から始まった。汚泥の深さは8センチにも達していた。すでに固まっていたところに水を撒くと、瞬く間にどろどろの状態に戻る。それを小型のパワーショベルで掻き集め、トラックで運び出す。その泥は、レッズランドの入り口のすぐ横にあるクレーテニスコートに隣接する駐車場に積み上げた。高さ1メートル、幅10メートルで横に伸ばしていけば、何立方メートルであるかがすぐに計算でき、最終的にここから再度トラックで運び出して処分するときに必要なトラックの台数が計算できる。この駐車場を集積場に使ったのは、最終的な搬出作業とスポーツ施設としての営業を並行して行えるようにという配慮だった。荒川左岸の巨大な堤防を越えてレッズランドにはいる道は、車がすれ違えない狭いものだったからだ。

※第3回につづく

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