■徳島が首位堅持! アウェイで長崎を下す
J1昇格を果たすチームでも、シーズンを通して好調を維持するのは難しい。「不調」とか「不振」とまではいかなくとも、自分たちのスタイルを発揮できなかったり、対戦相手に押し込まれたりする試合はあるものだ。
それだけに、「うまくいかない試合」で勝点3をつかむことが、昇格レースから抜け出すポイントになる。新型コロナウイルスの感染拡大で過密日程となった今シーズンは、「内容には満足できなくても、勝点3を取り切る」ことが、とりわけ重要となっている。
9月30日にV・ファーレン長崎のホームへ乗り込んだ徳島ヴォルティスは、まさにそういった試合をした。3位との上位対決を、1対0で制した。
シュート数は7対17で、決定機の数でも長崎に劣った。試合後のリカルド・ロドリゲス監督は、率直な思いを明かした。
「簡単な試合にはならない、難しい試合になると予想していましたが、相手に持たれる、押し込まれる時間帯が多くありました。決定的なチャンスを何度も作られてしまい、セットプレーでも危ない場面がありました。ただ、そのなかでも失点をしないで進めることができました」
長崎を押し込むことはできていないが、失点につながるようなスキは見せなかった。そのうえで、相手のミスを突いた。
89分だった。相手GKがキックでクリアしたボールが、右サイドの岸本武流にわたる。長崎の守備の陣形は整っていない。ゴール前に詰めていた渡井理己が、右手をあげてパスを要求する。
20節の新潟戦で決勝点をアシストした岸本が、DFラインとGKの間へライナー性のクロスを入れる。GKの目前で右足を伸ばした渡井のワンタッチボレーが、ゴールネットを揺らしたのだった。
リカルド・ロドリゲス監督は「こういった難しい試合で勝点3を取れた。すごく価値のある勝利だ」と話す。これで7戦負けなしとした徳島は、勝点を47に伸ばして首位を堅持した。「うまくいかない試合」を勝利へ結びつける──J1昇格の条件を、彼らは満たしている。