■長身CBの復帰で戦術の幅が広がる

 それでも、72分にDF岡村和哉がヘディングシュートを突き刺す。プロ12年目の32歳にとって、J2での得点はカマタマーレ讃岐に在籍していた18年7月以来2年ぶりだ。

 その岡村は得点時にGKと激しく衝突したため、2対0となった直後に退いた。

 代わってピッチに立ったのは河野貴志である。昨シーズンはリーグ中盤からセンターバックのポジションをつかんでいた24歳だ。ケガの影響で今シーズンはここまで出場がなかったが、186センチの高さを持つ彼がついに戦列へ戻ってきた。

 彼の復帰は戦術的な幅を広げるだろう。アルビレックス新潟と対戦した前節、小林伸二監督は試合終盤にシステムを5バックへ変更した。ボランチの加藤を最終ラインへ下げたのだが、同じような戦術を採用する際に今後は河野を起用できる。レギュラーメンバーに欠けている高さが、彼の戦列復帰によって担保されるのだ。

 山形戦は2対0のまま勝利した。小林監督は「厳しいゲームだったのは事実で、GKのファインプレー、ちょっと山形さんが焦ってシュートを打ったりして助かったなというのがあった」と話しつつも、「2対0のゲームができたことはウチにとっては素晴らしいこと。アウェイでの厳しいゲームをモノにできたことを、次のホームにつなげて戦いたいと思います」とまとめた。

 ここまで14勝のうち13勝は、複数得点による勝利だ。少ないと言われてきたセットプレーからの得点も、新潟戦は福森健太が直接FKを叩き込み、山形戦ではCKの流れから岡村がネットを揺らした。折り返し地点を前に首位ターンを決めた北九州に、現時点で不安要素は見当たらない。

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