■ギリギリのタイミングで会えた小林伸二監督
──どうにか、何とか、持ちこたえていたという感じでしょうか。
「ホントにキツいからこの人でいいんやないかという思いもよぎりましたが、妥協をせずに踏ん張っているところで小林さんとお会いしたんです。18年の11月18日にミクスタでJユースカップの決勝戦があって、小林さんはDAZNの解説で来られていたのです。小林さんは、福岡県内にこんなに素晴らしいスタジアムがあるなんて、とすごく驚いたそうです」
──ミクスタことミクニワールドスタジアム北九州は17年シーズンからの稼働で、その年の小林さんはJ1の清水エスパルスを率いていた。18年はどこのチームにも関わっていなかったので、ミクスタに来る機会がなかったのかもしれませんね。
「そうですね。ミクスタは小倉駅から近く、スタンドの最前列からピッチまでは8メートルしかない。音響も素晴らしい。当時、小林さんは充電中だったそうですが、そのとき少しスイッチが入ったのかもしれません。その試合で小林さんとギラヴァンツの距離が少し縮まり、12月2日の最終戦が終わったあとにお会いする機会を得ました」
──小林さんは長崎出身でマツダ時代からサンフレッチェ広島に関わり、アビスパ福岡でも仕事をしていました。北九州の地域特性はある程度ご存じだったのでしょうか。
「良くご存じでした。サンフレッチェのU-18の監督をやっていた当時に、スカウティングで良く来ていたそうです。北九州のそもそものサッカー文化から北九州の風土や気質も理解してくれていました。新聞記者時代に佐世保に勤務した私は、長崎弁が分かります。小林さんのイントネーションが、すごく心地良かったのも覚えていますね(笑)。そのときに、改革の柱となるクラブのフィロソフィーをお話しました……」
玉井 行人(たまい・ゆきと)
1957年7月、北九州市若松区生まれ。早稲田大学を卒業後、83年に西日本新聞社に入社。編集局社会部、東京報道部、久留米総局長などを経て、2012年から北九州本社副代表兼編集長、13~17年まで執行役員・北九州本社代表。18年1月から株式会社ギラヴァンツ北九州代表取締役に就任。