■「チームの根底から作り直そう」
──就任1年目の18年に、まず手をつけたことは何だったのでしょう?
「社長に内定したのが17年の12月5日で、25日の株主総会で承認されて18年1月1日から就任しました。この時点ですでに、いろいろなことが決定済みでした。“チームは大丈夫なので経営をやってください”と言われたのですが、シーズンが始まると途中から最下位なのです。結果責任は社長にあり、自ら減俸処分も課しました。そのうえで、これは根底から作り直すべきだ、それなら自分で作り直そう、という思いを強く持ちました」
──「作り直す」にあたっての方向性はどのように決められたのですか?
「ギラヴァンツの歩みを自分なりに分析すると、独自のスタイルがないのでは、という疑問にぶつかりました。ギラヴァンツのサッカースタイルをクラブの中と外で聞くと、明確に答えられる人が誰もいなかったのです。これはまずいと思いました。北九州というと反社会的勢力や公害をイメージする方がいるかもしれませんが、実はポジティブな要素がたくさんあります。サッカーを好きな人を中心に北九州の良さを再認識してほしいと考え、その思いを出発点に自分なりの絵を描こうと考えました」
──そこから、小林伸二さんに辿り着いていくわけですね。
「18年の6月に森下仁之監督に辞めていただき、残りのシーズンは柱谷哲二さんに監督をやってもらったのですが、私の考える世界には到達できなかった。これは根底から変えようと思い、11月に監督と3人のコーチ、強化本部長を契約満了としました。ひとりでも残すと私の考える基盤を作ることにならないので、GMもしくは強化本部長を経営のパートナーとして招き、一緒に絵を描いていこうと。そして、新任のGMもしくは強化本部長が新監督を選び、コーチを選び、チームの編成をする。それによって自分が思っているクラブの再生をやっていこうと考えたのです」