26歳で“年齢”の壁を感じる内田に対し、年を重ねても輝く選手がいるのでは、という問いには「でも、サイドバックみたいなポジションは、若くて生きのいい選手のほうが使いやすいから。運動量があるポジションだし」と、否定。ただし、当時は新たな可能性を温めていた。

「だから僕、ちょっと左サイドとかボランチとかもやってみたくて。ボランチか左サイドバックって面白そうだなって。

 だって、右足でボール持てるんですよ。絶対に楽じゃないですか? ドリブルも楽だし、サイドチェンジが一発でできるし。いつも左サイドはいいなって思ってるんですよね」

 右のイメージが強い内田だけに、「左」という言葉が出てくるのは意外だが、代表についても左への思いは募っていた。

「代表に関して言えば、左サイドにヤットさん(遠藤保仁)がいて、左サイドに右利きの選手がいる。でも、右サイドに左利きの選手がいないんですよ。ファルファンぐらい、ガンガン縦に行ける選手なら右も機能すると思うんですけど。

 だから、ロナウドが左サイドでやって、メッシが右サイドでやる。で、中に入ってシュート、みたいな。ネイマールも左サイドだし。あれは、やっぱりいいですよね。ああいう風に中に入って行けば、僕らサイドバックも上がれるし。真司(香川)が中に入って長友さん、みたいな。左利きがねっていう。まあ、岡ちゃん(岡崎慎司)はタイプ的にはゴール前の選手で、サイドハーフの選手じゃないと思っているんで。だから、どうしても左サイドから行くことになるんだけど、それがバランスなら、それでいいと思ってます。僕がしっかり戻ればいいと思ってますし」

 内田というと、攻撃に特徴のある選手と思われがちだが、本人は別なイメージがあった。

「僕、結構攻撃的って言われますけど、行かないときは行かない。だから、たぶんみんな、鹿島の1年目みたいにガンガン行くイメージが強くて、攻撃的って言うんだろうけど、行かないときは行かないですからね」

 当時の内田は26歳という年齢で「よくて半分」と認識していた。18歳からのキャリアなので、34歳での引退を想定していたのだろうか。32歳で引退した内田にとって、「よくて半分」という“予感”はどこかにあったのだろうか。

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