■「持たされるのではなく持つ」北九州のサッカー
ギラヴァンツ北九州の勢いが凄まじい。
前節終了時点で4位の大宮アルディージャとの上位対決は、驚きの結果となる。攻撃陣が爆発し、4対1で快勝したのである。
大宮はホームで強い。高木琢也監督が就任した昨シーズンから、NACK5スタジアム大宮では1度しか負けていないのだ。今シーズンもここまで、3勝1分けの成績を収めていた。
守備の固さにも定評がある。前節までの7失点は、栃木SCと並んでリーグ最少だ。
大宮からすれば、ボールを握られることは想定内だったはずである。自陣に5-4-1のブロックを敷く時間帯が続くなかでも、イッペイ シノヅカと近藤貴司の右サイドから、相手の守備を攻略するきっかけをつかみつつあった。
ここで怯まないのが北九州なのである。少しぐらいゴールに迫られたからといって、守備のリスク管理に軸足を移さない。高い位置からプレッシャーをかけてボールを奪い返し、持たされているのではなく自分たちの意思でボールを持つ。ダブルボランチの一角を担っていた國分伸太郎を負傷で欠いていたが、2列目で起用してきた髙橋大悟をボランチへスライドさせることで、チームとしての機能性はしっかりと維持されている。
25分の先制点は北九州には幸運で、大宮には致命的だった。7試合ぶりに出場した大宮のDF河面旺成が、ロングボールをクリアミスしてしまう。したたかに狙っていたディサロ 燦 シルヴァーノがフリーで抜け出し、利き足の左足で冷静にゴールネットを揺らした。
ここから先は、北九州が完全に主導権を握った。システムのミスマッチを執拗に突いていくことで、相手守備陣を完全なパニック状態に陥れる。34分と40分にもファインゴールで加点し、前半を3対0で折り返す。大宮がシステムを変更した後半開始直後の48分にも、テンポのいいパス回しから左サイドバックの永田拓也がファインゴールを突き刺した。
55分に失点を許したものの、4対1の結果は内容を適切に反映したものと言っていい。7試合連続の複数得点で7連勝となり、勝点を28に伸ばした。23得点はリーグ最多である。