■19日の大宮戦で北九州の真価が問われる

 4-4-2をベースとする柔軟性も高い。ビルドアップ時にダブルボランチのひとりが最終ラインへ落ち、両サイドバックを高い位置へ押し出す。サイドバックの攻め上がりに応じて、サイドハーフがハーフスペースに立つ。2トップはタテ関係にもなる。工夫された立ち位置が、チームの進化と自信の深まりを感じさせるのだ。

 町田戦は後半に押し込まれる時間帯もあった。先制点をあげたディサロ 燦(あきら)シルヴァーノは、「後半は町田さんがやりたいサッカーに合わせてしまった。自分たちがやりたい事を全然出せずに、苦しい時間が45分続いてしまって」と振り返るが、それでも勝点3を取り逃さないところに好調ぶりがうかがえる。

 J3からの昇格チームが序盤に走るのは、今回が初めてではない。15年のツエーゲン金沢は、4節から9節まで6連勝を飾り、10節から16節までも2勝5分けの負けなしで駆け抜けた。11節と12節には首位に立っている。

 16年のレノファ山口は、5節から11節まで7試合負けなし(5勝2分)を記録した。最高で3位まで順位を上げた。

 昨年はFC琉球が開幕から走った。クラブ初のJ2で開幕4連勝を飾り、6戦負けなしと好スタートを切った。

 シーズン序盤に話題を集めたこうしたチームは、しかし、最終的にJ1昇格を勝ち取るには至っていない。15年の金沢と16年の山口はいずれも12位で、19年の琉球は14位に終わった。

 中3日で挑む次節は、アウェイの大宮戦だ。

 高木琢也監督が就任した昨シーズン、大宮はホームで13勝6分2敗の成績を残した。今シーズンはここまで3勝1分と負けなしだ。

 ホームで抜群の強さを見せる昇格候補との一戦は、北九州の今後を左右するものとなるだろう。19日開催の13節では屈指の好カードである。

後編に続く

 

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