“らしきもの”が見えた試合といえば、0-4で終わった第6節柏レイソル戦の前半だろうか。

 先発したFW武藤雄樹が滅私奉公に前線で動き回りながら、プレスをかけ続け、チャンスを演出し、前から奪って、縦への攻撃が見えた。

 36分に右SBの橋岡大樹のクロスからFWレオナルドが、45分に左SBの山中亮輔のパスをフリーで受けたMF関根貴大がシュートと、いずれも阻まれはしたがペナルティエリア内に数人の選手が入り、連携して崩した好シーンだった。

 32分のパスミスからの失点以外、柏を圧倒したといっていいが、あくまで前半のみだ。

 大槻監督は名古屋戦の前日会見で、「試合を重ねるごとに表現できる回数や時間は増えてきた」と手ごたえを語ったが、「こういうサッカーで勝つ」という試合がはっきり見られないのは心もとない。

 選手層の厚さはリーグでも上位にある浦和。選手がそろっている以上、戦術のさらなる浸透が急務なのはたしかだ。まさか、今のやり方で戦術のすべてということはないだろう。

 カップ戦を合わせ、公式戦11試合。

 まだ11試合というべきか。もう11試合というべきか。

 大槻サッカーの具現化には時間がかかりそうだ。

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