この日の浦和レッズは散々だった。
J1第9節、浦和は名古屋グランパスとアウェイで対戦した。
開始9分、サイド攻撃から名古屋FW前田直輝に得点を決められると、立ち直る暇もないわずか1分後、同じく左サイドからのクロスをFW前田にやられ、連続失点をくらった。さらに8分後、セットプレーでも失点。38分にはFW前田、45分にカウンターからFWガブリエル・シャビエルに決められ、前半だけで5失点とやられ放題だった。
後半、FWレオナルドが2ゴールを返したものの、終わってみれば6-2の惨敗だった。
浦和の大槻毅監督は「3失点目で試合のコントロールを失った」と振り返ったが、それ以外に惨敗の理由はさまざまある。
MF柴戸海が、「どこで相手にプレッシャーをかけ、どこでハメてボールを奪うかが統一できなかった」と言うように、ピッチ内の統一感とともに修正力の低さが見られた。
また「少しの寄せ、詰めの甘さが失点の数につながった」とGK西川周作が指摘するように、中盤やサイドでの寄せの甘さ、局面での勝負弱さがあった。
大量失点の負け試合が心理的に引きずることは、言うまでもない。次の試合に向けて切り替えるしかない。ただ、この勝敗以上に、気になることがある。
浦和がやろうとするサッカー、目指すサッカーがいまひとつ見えてこないということだ。メンタルは切り替えられても、ここはそういう問題では済まない。
大槻監督のこれまでの発言をまとめると、今季のサッカーは攻守にわたって主体的に行うサッカー、ということになる。具体的には、布陣を4-4-2にし、前線からプレスをかけ、最終ラインをハーフラインまで押し上げ、全体をコンパクトにする。
攻撃では、両サイドの突破からクロスを上げる、あるいは、相手陣内のできるだけ深い位置でボールを奪い、ペナルティエリア内に複数の選手が入り込み、守備が整う前にゴールを決める。
守備では、ハイラインに保ちながら、押し込まれても体を張った守備でしのぎ切るやり方だ。
では、実際はどうか。
攻撃はレオナルドの得点力と左サイドDF山中亮輔からのクロスと個人頼み。
守備では体を張った守備はできているが、クロスやカウンターからの失点が目立つ。
つまり、攻撃は手数が少なく、守備では同じ展開からの失点。
9試合で11得点16失点の数字が、現状の“歯がゆさ”を物語っている。
数字だけでなく内容に目を向けても、こうやって勝つというゲームがなかなか見えてこないのだ。