■リバプールの成長は止まらない!
最後に3つ目の主な収入源であるマッチデイ収入を見てみよう。チケットの値上効果もあり、前年度よりも300万ポンド(4%)増加して8400万ポンド(約113億円)となった。2016年に8500席追加したメインスタンドの拡張効果で、6200万ポンドから大きく成長した。これはプレミアリーグではマンチェスター・Uとアーセナルに次ぐ第3位で、野球メジャーリーグのボストン・レッドソックスなどを所有するフェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)がクラブを購入した2010年の4300万ポンドのほぼ2倍にあたる。
拡張工事の効果もあり、平均観客動員数は約53000人で、プレミアリーグで6位に位置する。クラブは、さらにメインスタンドの一角であるアンフィールド・ロード・エンドの拡張計画を進めており、およそ6000席が増築される予定だ。リバプールはチケットが入手しにくいことで有名であり、年間チケット購入の順番待ちが未だに発生している。この増築を終え6万人規模のスタジアムになれば更なるマッチデイ収入の見込みが立つだろう。
繰り返しになるが、この分析は昨シーズン(2018/19)のものである。しかしながら、プレミアリーグの海外放映権料分の増加や、プレミアリーグでの優勝、そしてナイキとの大型サプライヤー契約など、今のリバプールの躍進はまさに「アンストッパブル」である。もちろん新型コロナウイルス感染症のせいでマッチデイ収入が大きく下落することが予想されるが、それは世界共通の悩みの種である。リバプールが近年大きく水をあけられていた国内のライバルクラブに追いつき、スペインの巨大2クラブの背中を追うことになるだろう。