■マジョルカの戦略とタケ効果と

 1部の常連だったマジョルカが、2部降格の憂き目に遭ったのは2013年だ。そこから負の連鎖が止まらず、2016年には2部B(実質3部)に降格する。それでも、2015年から始動した現在の経営陣の戦略は少しずつ成果を挙げはじめ、2018年に2部復帰を果たすと、その翌年に1部に返り咲いた。

 2部B時の予算(400万ユーロ~500万ユーロ)を顧みれば、今季の予算(5500万ユーロ)は考えられないものだった。だがマジョルカのような中小クラブにおいて、久保建英という日本のアイコンの加入が及ぼす影響は大きかった。

 顕著だったのはSNSのフォロワー数と視聴者数の増加だ。マジョルカはツイッターとフェイスブックでおよそ69万6000人のフォロワー数を獲得している。これはバルセロナ、レアル・マドリー、アトレティコ・マドリーというクラブに次いでリーガでトップ5に入る数字だ。2018-19シーズンと比較して、SNSのフォロワー数は24%増である。エフェクト・タケ(タケ効果)は間違いなくあった。

 また、今季、トータルで4580万人以上の視聴者数を記録。日本で視聴されたリーガの試合で、最大視聴者を獲得した10試合中8試合がマジョルカの試合だった。最も観られたのはリーガ第13節のマジョルカ対ビジャレアルの一戦だった。久保が得点とPK獲得で勝利に貢献した試合である。このゲームの視聴者数はクラシコ以上だったといわれている。

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