■岩本輝雄「自分の動きは映像と全然違う」
―― 一流選手は受ける前から違う、と。
岩本 メッシの場合はあの人だけの特別な世界だけど、うまい人は受ける前に状況を広く把握しているよね。今は映像を見せてくれて丁寧に説明してくれるし、練習メニューも事前に説明してくれるから、年齢に関係なく誰でも成長できるし、いい部分は何歳になっても広げられると思うよ。昔は映像がないから、自分がどういうふうに動いているか分からない。自分の中ではこう動いているつもりでも、映像で見ると全然違うことってけっこうあるからね。
渡邉 ２０１９年のキャンプは、仙台も毎日練習の映像を残していました。メンバーの３分の１が入れ替わったじゃないですか。だから、イチから共通理解を作っていかなきゃいけない。毎日、練習前に映像を見て、「昨日は〇〇〇だった。で、今日はここを伸ばすために〇〇をやろう」とか「この映像を見ると、〇〇をしたときに〇〇ということが起きたから、これを改善するためのトレーニングを今日やる」とかね。そんな長くはなく、時間にすれば10分もしないくらいなんだけど、毎日、「今起きてる現象」や「それを改善するためのトレーニング」を説明しました。どう動くのか、そして、何を目的としているのか。
岩本 映像を見せたほうがいいよね。一回映像を見せてイメージを持たせないと、イメージをわかせることのできる選手だけがしっかり練習できて、そうじゃない選手と戦術理解に差が出てしまう。
知将と天才の対話は、サッカーの奥深さを感じさせながら、尽きることなく続いてゆくーー。
第５回目は近日公開
