「チームの今までの目標は『エリート』と呼ばれるカテゴリーに入ることだったが、今はそのカテゴリーを維持することがセビージャの目標である。もちろん、リーガのタイトルはセビージャサポーター誰もが夢見ている大きな目標ではあるが、リーガにはバルセロナ、レアル・マドリードというビッグクラブ以上のモンスタークラブが存在する。CLを見れば、この2チーム以外にユベントス、マンチェスター・シティ、PSG、バイエルン・ミュンヘンといった資金力でセビージャの何十倍も上にいくチームがある。ヨーロッパカップという大洋への冒険にセビージャはその身を置いたが、彼らの船が完全装備された豪華客船だとしたら、自分たちの船はそこまでの大きさにはない。港(移籍市場)に入るたびにしっかりと必要な物資(選手)を補給しなければいけないんだ。その補給を円滑にするために、自分たちはこの航海で得た名品(選手)を売らないといけない。ドックに入り、必要なものを簡単に手にできるビッグクラブとは残念ながら違う。今のセビージャの目標はスペイン、そして欧州でそういった相手と共に冒険をするできるライセンスをしっかりとキープすることなんだ」

ラモン・ロドリゲス・ベルデホ
通称モンチ。人生の半分以上となる29年をセビージャで過ごしているスポーツゼネラルディレクター(肩書きは本人談)。10年間の現役時代はマラドーナやシューケルといった世界のスーパースターとロッカールームを共有していたが、今では欧州のビッグクラブがロッカールームのメンバー編成を託したいと願うスーパーSD。発掘した無名選手がチーム退団時に高額の違約金をクラブに残していくことから、セビージャの現代のミダス王(ギリシャ神話に登場した触るもの全てを金に変えることができた王)と経済誌からも賞賛を受けている。


※第3回に続く
(この記事は2016年10月28日に発行された『サッカー批評83』(双葉社)に掲載されたものです)
 

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