第一に考えているのはトップチームに通用する選手たちの育成であり、前述の選手たちもトップチームで活躍したからこそ他チームの目に留まり移籍している。過去に日本人FW指宿洋史がプレーしていたBチームのセビージャ・アトレティコは今季、2008 -2009シーズン以来8年ぶりに2部に復帰した。昇格プレーオフでジェイダに勝利した時、モンチは、

「アトレティコはクラブのアイデンティティである“決して諦めない”その姿勢を見せてくれたセビージャの誇りだ。我々は下部組織の働きを何よりも大事に思っている。彼らがクラブの礎となる存在だ」

 と喜んだ。なぜなら、Bチームがプロのカテゴリーでシーズンを戦うことは、高いレベルで選手たちが切磋琢磨できることはもちろん、長期的戦略として海外の今後が楽しみな有望株を手元で育てる土壌を手にすることを意味するからだ。実際、セビージャ・アトレティコには今季、20歳のU -20ウルグアイ代表DFクリスティアン・ゴンサレスや18歳のU - 18、17フランス代表MFビラル・ブトバなど既に母国でトップチームデビューを果たした選手たちが加入している。

 モンチがSDに就任してからセビージャは全てのことが上手く回転し始めた。獲得した選手、下部組織の選手はそれぞれフィールド上で結果を出しただけでなく潤沢な資金を残した。昨シーズン、UEFAヨーロッパリーグ3連覇を達成するなどアンダルシアのチームは2000年以降、バルセロナ、レアル・マドリードに次ぐ9つのタイトルを獲得。だからこそ、アトレティコ・マドリードに続く2強を脅かすチームはセビージャだと周囲は期待する。

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