■ 「最大の被害者は高額チケットを買ったファン」許されないFIFAの独裁

 僕は、かねてからレッドカードやイエローカードの累積によって、自動的に出場停止にする措置には反対意見を持っていた。

 選手が出場停止になったことによって最も大きな被害を受けるのは高い入場券を購入して試合を観戦に来たファンたちである。

 たとえば、ラウンド16のポルトガル対スペインの試合の入場券は、試合当日には日本円で最安値でも26万円といった値段が付けられていた。

 両国の多くのスター選手を一目見たいというファンたちが購入するのだろう。だが、そこで、例えばクリスティアーノ・ロナウドが出場停止になっていたとしたら、彼を見るために超高額の入場券を購入した人はどんな気持ちになるだろう。

 そうしたスーパースターでなくても、主力選手が1人欠けることでチームのパフォーマンスが落ちれば試合の面白さが損なわれてしまう。

 やはり、できるだけ出場停止処分は避けるべきだ。

第一、その反則によって被害を受けたチーム(今回の場合、ボスニア・ヘルツェゴビナ)は相手選手(バログン)の退場によって被害の補填を受ける。

 だが、その選手が出場停止になれば、まったく利害関係のない第三者である次の対戦相手(ベルギー)が利益を受けることになる。

 つまり、さまざまな意味で出場停止処分はあまり合理的だとは思えないのだ。

 もちろん、故意に相手を傷つけるようなラフプレーなど悪質性の高い反則の場合は規律委員会の審議によって何試合かの出場停止に処するべきだ。だが、今回のバログンのケースのような悪質性が低い場合は罰金処分等にとどめ、出場停止処分はなるべく避けるべきだと僕は思っているのだ。

 しかし、今回の執行猶予の決定は、そのこととはまったく別の話である。退場または警告の累積で出場停止になることは大会のレギュレーションに明記されているのだ。

 それに例外を設けて執行猶予にするためには、なぜそのケースが例外と見なされるのかについて客観的、合理的な説明が必要なはず。そうした説明なしにFIFAが執行猶予を決めたとしたら、それは独断であり、独裁である。

 バログンの処分の執行猶予は(トランプ大統領の介入があろうと、なかろうと)断じて許されることではない。

つづく

 

(2)へ続く
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