世界中が熱狂する北中米ワールドカップだが、ピッチ外で起きた「前代未聞の事態」が波紋を広げている。レッドカードで退場し、本来なら出場停止となるはずのアメリカ代表の主力選手が、トランプ大統領からの“一本の電話”によって突如として「執行猶予」となり、出場可能になったのだ。このあからさまな政治介入は、現在のFIFA(国際サッカー連盟)が抱える“病巣”の氷山の一角にすぎない。サッカージャーナリスト・後藤健生が、ルールすら独断でねじ曲げるジャンニ・インファンティーノ会長の欺瞞と独裁を痛烈に斬る!(全2回/第1回)
■ 大統領の電話でルール崩壊!? FIFA会長の「オウンゴール」
どうやら、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長のオウンゴールだったようである。
カナダ、メキシコ、アメリカで開催されているワールドカップのラウンド32、ボスニア・ヘルツェゴビナとの一戦で退場処分を受けたアメリカ代表FWのフォラリン・バログンが、本来なら1試合の出場停止となってラウンド16のベルギー戦には出場できないはずなのに、FIFAは懲戒規定(FDC)第27条に基づき「1年間の執行猶予」としたため、バログンはベルギー戦に出場可能となり、実際に先発出場して後半アディショナルタイムまでプレーした。
このFIFAの処置に対して各方面から批判の声が上がっているのだ。
とくに、「トランプ・アメリカ大統領が親交の厚いインファンティーノ会長に直接電話をして処分の見直しを求めた」と報じられ、トランプ大統領自身も電話したことを認めたため、「政治の介入」ではないかとの疑いが生じたのだ。
FIFAは各国サッカー協会に対する政治の介入を禁止しており、それが原因で資格停止処分を受ける例も少なくない。その「政治不介入」の原則をFIFA自身が侵してしまったのではないかというのである。
FIFA自身も批判の声が高まっていることを気にしたのか、ワールドカップを取材しているジャーナリスト向けにわざわざ7月6日付で声明文を送りつけてきた。日本時間7日早朝には、僕のところにもメールが届いていた。
そこにはバログンに執行猶予が付与されたことについての規則上の根拠について細々とした説明が書かれていたが、肝腎の「なぜ、バログンに対してその規則が適用されたのか」についてはいっさい説明されていないので、声明を読んでも疑問が解消することはなかった。




























