■「運が良ければ4ゴール」なんて言わせるな!

 私と同じ182センチですが、今シーズンはヘディングだけで9得点。当たり負けないフィジカルや驚異的なジャンプ力だけでなく、秀逸なポジショニングの成果と感じています。タイミングもいい。だからこそ、ボールを捉えられる。もちろん、サイドにいるウイングの上げるクロスの質がいい、あるいはコーナーキックの質がいいという面もあると思います。それはオランダの伝統でもあります。チームメイトとともに磨き上げてきた努力が実った得点王です。

 左右の足だけでなく、ヘディングの得点力を上げたことで万能型のストライカーとして評価を高めています。ただし、アーリング・ハーランド(ノルウェー代表)の大きさやキリアン・エムバペ(フランス代表)のスピードといった圧倒的な武器がないとも言えます。

「移籍しないほうがいいぞ」という趣旨なのでしょうが、オランダ代表のOBに「ノッティンガム・フォレストに移籍して、そこで何ゴールを決められるか知っているか? 運が良ければ4ゴールだ」と言われたりするのは、そういう面が影響しているのかしれません。

 そういう評価をぜひとも覆してほしい。月並みではありますが、そのためには決定率をさらに上げて数字を積み上げるしかない。結局、フォワードは数字で評価されますから。いや、数字でしか評価されない。

 ワールドカップはアピールする絶好のチャンスです。特に初戦のオランダ戦は注目を集める試合になるでしょうから、ゴールを決めて存在を知らしめてほしい。1回か2回くらいしかないチャンスできっちり決めれば、「やっぱり決める選手」となる。上田選手の得点は自身の評価アップにつながるし、日本代表にとっても勝利に不可欠。とにかくゴールを期待したい。

つづく

■小倉隆史(おぐら・たかふみ)プロフィール
1973年7月6日生まれ、三重県出身。
四日市中央工業高3年時に全国高校サッカー選手権で優勝を果たし、1992年に名古屋グランパスエイトへ入団。
93年にはオランダ2部のエクセルシオールへ期限付き移籍し、チーム得点王となる活躍を見せた。
“レフティーモンスター”の異名を取り、アトランタ五輪予選や日本代表でもエースとして活躍するが、大ケガに見舞われる。
2006年の現役引退後は解説者として人気を博し、2016年に名古屋のGM兼監督を歴任。
現在はFC.ISE-SHIMA(東海社会人サッカーリーグ)のスポーツディレクター(理事長)兼監督を務め、クラブのさらなる飛躍を目指している。

(3)へ続く
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