■止まらない安売り
国立競技場の建設費は約1569億円と言われている。その大きな部分を「税金」でまかなったわけだが、完成(2019年)からわずか6年、運営管理費の「赤字」に我慢ができず、「わずか年間10億円」で民間企業に「売ってしまった」のである。年間10億円の命名権は日本では破格かもしれないが、建設費の160分の1に過ぎない。税金を投じたというのは、スタジアムを「公のものとした」ことを意味する。それをこんなに「安売り」していいのか。
新国立競技場の建設に当たって、仮にMUFGが500億円を負担するという形(税金投入は大幅に削減される)だったら、最初から堂々と「MUFGスタジアム」と命名し、その権利をたとえば30年間保証してもよかっただろう。それが「志あるスタジアムづくり」というものだ。
建設されてから数十年経過したスタジアムが運営管理費を捻出、自治体の負担を軽くするために地元企業の支援を仰ぐというのなら、誰もが理解できる。Jリーグのクラブが使用するスタジアムにも、そうした例はたくさんある。しかし新設のスタジアムの命名権を、建設に資金的協力をしたわけではない企業に売ってしまうのは、住宅を建てて賃貸するのとはわけが違う。
味スタ以来、日本の「スタジアム命名権販売」は「志低きもの」になり下がり、国民や地域住民のものであるはずの重要な施設を不当に「些少」な額で特定企業の宣伝の道具としてしまっているのである。
嘆かざるをえない。










