■読売と「企業チーム」の違い
後に日本代表や日本選抜に選ばれるMF小見幸隆、MF橋本好章、FW岡島敏樹らのアタッカー陣とともに、サイドバックとしてバルコム監督が将来を嘱望していた松木安太郎といった選手たちは、これまでの日本のサッカーとは異質な自分たちのチームに大きな自信を抱いており、ときにそれは「不遜」なほどの試合態度となって表れていた。松木は当時まだ17歳で、堀越学園高校の2年生だった。
しかし読売が他の「企業チーム」と最も違ったのは、サッカー自体ではなく、自由な雰囲気だっただろう。彼らは「サッカー好き」ということだけが共通点の仲間で、年齢の違いはあっても上下関係はなく、また、「会社員としての規律」にも縛られていなかった。
トヨタスポーツセンター最上階のティールームにいた読売の選手たちは、まさにそうした自由な若者たちの集団だった。明るい窓越しに彼らが見下ろすピッチ上では気温2度の寒風の中、トヨタの選手たちが汗だくになって除雪作業に取り組んでいた。しかし、その選手たちと対戦する読売の選手たちは、コーヒーを飲みながら冗談ばかりの話に大笑いしているのだ。
つづく
















