■脳裏に焼きついた「ゴール」
1月12日、富士通との入れ替え戦を迎えた永大が自信満々なのは当然だった。戦前の予想でも大差になるのではとまで言われていた。試合が始まると前半のうちに永大がエースの中村道明の2得点でリードし、後半にもジャイロが追加し、楽勝ムードが漂った。しかしその後、永大のGK城山義輝が負傷、高田喜義が交代で入ったが、ウォームアップが十分でなく、直後の22分に富士通のFW望月長治に1点を許し、さらに滝充にも決められて、かろうじて3-2の勝利をつかんだ。
試合前、「永大圧倒的優位」の予想から、今井さんは永大の攻撃を撮ると決めた。すると今井さんは私に標準レンズ(50ミリ)のついたカメラを1台渡し、これで富士通が攻めるゴールの横に位置するよう指示した。入れ替え戦は何よりも結果が大事である。勝負を左右するゴールの写真がなくては雑誌が困る。今井さんはフリーランスではあるが、たくさんの試合を撮影してきたベテランであり、私は「駆け出し」の記者だった。素直に従った。
前半は、ずっと私から遠いエンドでボールが行ったり来たりしていた。2ゴールも決まった。寒風のなか、私はガクガクと震えながらゴール裏に座っていた。突然試合が変わったのは、後半の半ばだった。FKから富士通のチャンス。望月長治がペナルティーエリア外でボールを持ったとき、私は「シュート」と直感した。そして彼が右足を振った瞬間、シャッターを切った。
永大GK高田のセーブを破って、ボールがゴールに吸い込まれる瞬間が、私の脳裏に焼きついた。「撮ったぞ!」と思った。頭はできあがりの写真を思い描くほどクールだったが、体がカッと熱くなり、寒さを忘れた。
つづく

















