大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第178回「31年前のアメリカW杯との違い」(3) スタジアム到着を早めようと便変更も寝坊「席がない!」、マラドーナの試合に間に合うのか?の画像
2021年3月26日に行われた国際親善試合、日本対アルゼンチン戦の前に、ディエゴ・マラドーナを偲んで、彼の代名詞である背番号「10」を着て黙とうを捧げるアルゼンチン選手たち。試合は1-0でアルゼンチンが勝利した。撮影/原悦生(Sony α1使用)

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは、「まさに隔世の感」。

■分厚い束となった「航空券」

 国内移動は、もちろん、飛行機である。大会の取材計画を立て、どの日にどの都市でどんなカードを取材するかを決める。そして当時、海外出張のときにいつも手配を頼んでいた交通公社(JTB)の担当者に知らせ、日本からの往復便と国内移動の便をすべてとってもらった。

 当時はネット予約などない時代である。当然、Eチケットもない。航空券は、すべて航空会社発行の「実券」である。成田からサンフランシスコ経由でシカゴまで飛び、シカゴからはニューヨーク、ワシントン、ボストン、シカゴ、デトロイト、ボストン、シカゴと、大会の前半は東部を回った。そしてグループステージが終了したら西海岸に移り、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ダラスなどを回った。日本とアメリアを結ぶユナイテッド航空のチケットは、予定変更も返金もできない安いものとしたが、アメリカ国内の航空券はすべて正規料金のものである。航空券は分厚い束となった。

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