Jリーグでも「ダイナミックプライシング」採用

「ダイナミックプライシング」という。直訳すると「動的価格設定」ということになる。企業が需要を考慮に入れて価格を柔軟に設定するもので、1970年代に航空事業で始まったらしい。ハイデマンドのときには運賃を上げて収益を増やし、ロウデマンドのときには安くして利用を促し、できるだけ空席を減らして運行しようというものだった。経済学者は、均一価格制よりも福祉が向上し、限られた資源の配分がより適した形で行われると評価した。

 それが1980年代にはホテル業界にも広がり、現在では、スポーツを含むエンターテインメントなど多くの業界で使われている。AI(人口知能)による需要の動向を予測するシステムの利用により、より早い時期に消費者動向を予測できるようになり、最大限の収益を挙げる方法として、どんどん使用が広がっている。

 少し前に「12月6日、Jリーグ最終節の浦和レッズ×川崎フロンターレの『アウェー側自由席』が高すぎる」という話題が出た。

 埼玉スタジアムで行われる浦和のJ1の試合の「ホーム自由席」を単発(年間チケットでなく)購入すると、前売りで「大人2700円、小中高生900円」、当日売りで「大人3200円、小中高生900円」。この試合も、ホーム自由席は同じ料金なのだが、この記事を書いている10月16日時点で「Jリーグチケット」で川崎サポーターが入るゴール裏の「ビジター自由席」を購入すると、「大人7600円、小中高生2600」円となっている。浦和が、入場券販売の一部で「ダイナミックプライシング」を採用しているためである。

(2)へ続く
  1. 1
  2. 2
  3. 3