
埼玉スタジアムで開催されるJリーグ最終節の「ホーム自由席」と「ビジター自由席」の料金差が話題となっている。だが、来年のワールドカップでは、そんな格差がかわいらしく思えるほどの「チケット価格」と「転売システム」になっているという。どういうことか? サッカーを牛耳る人々の、とどまることを知らない欲望が生んだ「大衆からフットボールを奪う」行為に、サッカージャーナリストの大住良之が警鐘を鳴らす!
■パラグアイ戦「1泊7000円」の部屋がっ!
10月10日金曜日に、日本代表のパラグアイ戦を取材に大阪に行った。宿泊したのは新大阪駅近くのホテルで、7か月も前の3月に予約したおかげで1泊7000円と、このあたりのホテルとしてはごく普通(と思われる)の宿泊料だった。ところが、この週末、11日土曜日から13日(祝日)の「3連休」は、同じ部屋がなんと1泊4万5000円(!)にもなっているという。外国人旅行者の急増とともに、この週末で閉幕する万博の影響だったらしい。
日本のホテルといえば「定価主義」が常識だった。予約で埋まる日もあれば、空室が多い日もあるだろうが、宿泊料は基本的に同じだった。2002年のワールドカップ時には試合のある日の都市では宿泊先を探すのが難しいことも多かったが、「残り1室」の状況でも空室があれば、定価どおりだった。
海外でワールドカップやオリンピックに行くと、宿泊先がないだけでなく、あっても宿泊料が恐ろしく高いのが当然となっていた。1998年のワールドカップ・フランス大会、どうしてもホテルが見つからなかったマルセイユで、仲間の記者とともに小さなヨットのキャビン(狭い2段ベッドと、トイレの真上にシャワーヘッドがあるバスルームがあるだけの狭いスペースだった)に宿泊したが、たしか3万円ほど取られた気がする。それでも「格安」だった。