昨シーズン「76試合出場」モドリッチを超えるレアル元同僚、「地球を4周」したオーストラリア代表GKも!サッカーを破滅させる「FIFAの収益重視」【サッカーの「本当の敵」は誰か】(2)の画像
クラブW杯でパリサンジェルマンと戦う当時レアル・マドリードのルカ・モドリッチ(写真右)。昨シーズンは39歳で「76試合」に出場。今シーズンからACミランでプレーしている。撮影/原悦生(Sony α1使用)
 地球規模で拡大し続けるサッカー。選手たちがプレーする大会は増え、技術や体力の向上では補いきれない「負荷」がかかっている。このままでは選手は、利益を上げるための「消耗品」になってしまう。現代において、サッカーの「本当の敵」は誰なのか。サッカーの「未来」を奪うのは? サッカージャーナリストの大住良之が「選手会レポート」などを基に、警鐘を鳴らす!

■1試合「平均92分44秒」出場を72試合

 問題は「不完全なオフ」だけではない。シーズン中に70以上の試合に出場した選手も何人もいた。クラブの試合数は、最多でもシーズンに60程度だが、そこにナショナルチームでのプレーが加わるからだ。

 FIFAクラブワールドカップで準決勝まで進出したスペインのレアル・マドリードでプレーする、ウルグアイ人MFフェデリコ・バルベルデは、2024/25シーズンにクラブの国内公式戦(リーグ、カップなど)43試合、クラブの国際試合22試合に出場し、そのうえ、ウルグアイ代表で7試合プレーした。計72試合である。

 驚くべきは、彼のプレー時間である。72試合でバルベルデがピッチに立っていた総計は6676分間。これを72で割ってみてほしい。1試合平均92分44秒(!)にもなるのである。ほぼフル出場である。

 同じレアル・マドリードのMFルカ・モドリッチ(現在ACミラン所属)は、41試合、22試合、代表10試合に加え、クラブの親善試合にも3回出場して計76試合とバルベルデを上回った。しかし、出場時間は4376分間で、バルベルデの65%だった。さらに代表チーム参加の負荷という面では、バルベルデのほうが重いように見える。彼はこの間に「生か死か」のようなワールドカップの南米予選を7試合も戦っているのである。当然、そのたびにマドリードから10数時間をかけて南米に戻り、南米の中でも4時間、5時間になる旅行をこなしている。その負荷は計り知れない。

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