■どの国とも違う「強烈すぎる国」
試合だけでなく、メキシコという国はなんとも強烈でした。僕の記憶の中で、メキシコは「不思議の国」なのです。
僕はこれまで89の国(日本を含めて)を経験しています。ですから、どこの国に行っても、たいてい「ああ、ここはあの国に似てるな」とか思います。
しかし、メキシコでは、それが通用しない、つまり他のどの国とも違うように思えたのです。
たとえば、ヨーロッパの都市には中心に広場があって市庁舎や大聖堂(カテドラル)があって、そこを中心に街路が走っています。また、どこの都市にも裕福な人たちが住んでいる街があり、同時に貧しい人たちの街も存在します。歩き回っていると、だいたいの都市の構造が分かってきます。
しかし、メキシコはその常識が通用しないように感じたのです。富裕層が住む街を歩いていると、ほんの2、3ブロックで突然貧民街に迷い込む……そんな感じです。









