■料理にチョコと唐辛子が「同居」
料理もそうです。いろいろ国に行って、さまざまな物を食べていると、どんな珍味でも、「ああ、これはあの国のなんとかという料理と同じ味だ」とか、「あれとあれの中間的な味だな」と頭の中の“料理の地図”上に分類していくことができます。
しかし、どうもメキシコ料理は、そうした範疇を飛び出たユニークさがあるのです。
たとえば、1986年大会で3位決定戦が行われたプエブラの名物料理にモーレ・ポブラーノというのがあります。「モーレ」はソースのことで、「ポブラーノ」は「プエブラの」という形容詞形です。
チョコレート(カカオ)を使ったソースがローストチキンにかかっていました。チョコレート味ですから、口に入れると甘さが広がります。しかし、このソースには唐辛子が大量に入っているので、しばらくすると口の中がじわじわと辛くなってくるのです。
この微妙な甘さと辛さの融合。世界中のどんな料理とも違う味だと断言できます。
そういえば、カカオも唐辛子も現在のメキシコを含むメソアメリカ(中米)が原産地です。










