■柏とソシエダが示した「プレス」回避

 だが、カウンター・プレスのサッカーが世界をリードするようになってから早くも10年ほどが経過し、これから将来のサッカーのスタイルがどうなっていくかが興味深いテーマとなっている。

 リカルド・ロドリゲス監督の柏は、浦和の前からのプレスを完全にはがして、引っ繰り返してしまった。そこで、浦和のスコルジャ監督は、すぐにハイプレスをあきらめて、ミドルブロックで守ることを選択した。

 相手がプレスをかけてきても、柏の選手たちは落ち着いてワンタッチでパスを回して、プレスを回避することに成功。しかも、単にプレスをかわしてボールを保持するだけでなく、ボールをスペースに出したり、前線の味方につけたりして効果的に攻撃につなげた。

 相手のプレッシングはワンタッチパスを回すことで回避できるのである。

 そういえば、7月にスペインのレアル・ソシエダが来日して横浜FCと対戦した試合でも、レアル・ソシエダは相手のハイプレスを見事にかわして見せた。横浜FCの三浦文丈監督も、記者会見でまずその技術レベルの高さについて言及した。

 プレスがハマったかと思われた瞬間に(相手を引きつけてから)パスを出してプレッシングを回避して、スペースを利用して引っ繰り返してしまうのである。

 もちろん、横浜FCは今シーズンはJ1降格圏を脱出できずに監督交代に追い込まれ、三浦監督が就任した直後の試合だった。スペイン1部の強豪レアル・ソシエダが、そんな不調の横浜FCのプレッシングを回避できるのは当然かもしれない。

 浦和も、けっしてハイプレスに定評のあるチームというわけではなく、柏が浦和のプレスを回避することも当たり前かもしれない。

 だが、いずれにしてもハイプレスをかけてくるチームに対して、ポゼッション・サッカーを志向するチームがどういう方向性で戦えばいいのか。浦和戦の柏や、横浜FC戦のレアル・ソシエダがそれを示してくれたことに変わりはない。

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