■数十秒の時間が浪費される「スローイン」

 今回の「8秒ルール」では、レフェリーが片手を上げて指でカウントの数字を示すことになっている。これまでのサッカーでは見られなかった光景だ。

 だが、レフェリーが指で秒数を示す光景は、フットサルに親しんでいる人なら見慣れているはずだ。

 フットサルには「4秒ルール」がある。

 GK(ゴレイロ)のボール保持(足での保持を含む)だけではなく、キックイン(サッカーのスローインに当たる)やCK、FK、ゴールクリアランス(サッカーのゴールキックに当たる)に適用される。

 ボールがラインを割ってキックインのためにボールがセットされたり、CKのためにボールがセットされると、レフェリーは必ず腕を横に伸ばしてカウントを開始する。実際、フットサルでは1試合に1度や2度は「4秒ルール」が適用されることがある。

 フットサルで、時間の浪費について制限があるのは、11人制のサッカーに比べてボールが外に出てアウトオブプレーになる頻度が高いからなのかもしれないが、フットサルの「4秒ルール」を見慣れていると、サッカーでもGKのボール保持以外でも時間制限を設けるべきではないかという気がしてくる。

 ボールがタッチラインを割ってスローインとなる。だが、ロングスローを使うために、スロアーが逆サイドからピッチを横切ってスローインの地点まで走ってきて、そこでタオルを使ってボールを拭いてから実際にスローインが行われるまで数十秒の時間が浪費される。

 スローインというのは、本来はボールがタッチラインを割った場合にすぐにプレーを再開するための手段だったはずだ。なんらかの時間制限を設けるべきなのではないか。

 CKにしても、かつてアンジェ・ポステコグルー監督の下で横浜F・マリノスが強かった時代には、ボールがゴールラインを割るとすぐにCKを蹴って、相手の守備が整う前にプレーを再開することでチャンスを作っていた。見ていて、とても気持ちが良いものだった。

 GKのボール保持を制限する「8秒ルール」が成功したら、その後はその他のさまざまな場面で時間制限を設けてアクチュアル・プレーイングタイム(実際にボールがプレーされている時間)を増加させるためのルール改正が必要となるのではないだろうか。

  1. 1
  2. 2
  3. 3