■落ちてしまった「パスの精度」

 ハーフウェーライン付近で短いパスを交換した後、鈴木が前線で田川の走るべきラインを見いだして縦パスを送り込み、田川も同じイメージを持って走り込んでおり、相手DFを置き去りにしてゴール左に蹴り込んだ。

 鈴木は、川崎の守備陣に穴を見いだしていたようだが、その鈴木の目と田川のスピードが連係した得点だった。

 川崎のCBはジェジエウが故障がちで、最近は高井と丸山祐市が組むことが多い。丸山はどっしりと構えて堅実に跳ね返すことに専念し、高井は前後に動いて攻撃の起点にもなろうとする。ところが、前半からそうであったように、鹿島戦での高井は判断に迷いがあるように見えた。そのため、CB2人の間、あるいはCBとボランチの間にスペースやギャップができてしまった。そして、そこを鈴木が見事に使った。

 リードされた川崎は、反撃に移り、その後はほとんどの時間、鹿島サイドでゲームは進み、76分には山田新や家長昭博、神田奏真、さらに87分には橘田健人も投入された。

 たしかに惜しいシュートは何本もあった。87分には山本悠樹の蹴った左CKを高井が頭で決めたが、その前に攻撃側のファウルがあって、得点は認められない。アディショナルタイムに入った90+3分にも、左からのクロスに山田が頭で合わせたが、シュートはGKの早川友基の正面に飛んでしまった。

 ただ、リードされた後の川崎の攻撃は、焦りのせいなのか、疲労のせいなのか、パスの精度も落ちていた。

(3)へ続く
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