■「ムバッペやメッシともやっていますんで」

 その冷静さの裏には、これまでのクラブとして積み重ねがある。大関友翔や神田奏真がアンダー世代の代表活動で「海外に慣れている」と長谷部茂利監督が話したことをすでに書いたように、A代表や世代別代表で経験のある選手が多いこともその一つ。
 たとえば高井幸大はすでに森保ジャパンの一員として数々の遠征をこなしているが、「自分は経験がある方なので、引っ張っていきたい」とリーダーシップを見せていた。
 また、チームとして海外クラブとの親善試合に積極的だった姿勢も生きている。佐々木旭は準決勝を前に、「ムバッペやメッシともやっていますんで」とパリ・サンジェルマンとの親善試合でワールドクラスの選手と対峙した経験を言葉にしていた。
 もちろん、パリ・サンジェルマンだけでなく、バイエルン・ミュンヘンとも対戦。また、もっと過去にもチェルシーなどと試合をしていれば、10度挑戦してきたACLでの海外遠征もあるし、シーズンオフの東南アジア遠征もある。そうした一つ一つの蓄積がこの大舞台で生きた。
「シルバーコレクター」とも揶揄された歴史を乗り越えたうえで獲得した7つのタイトルは、このクラブに大きな“勝ち癖”を与えている。次の決勝の大舞台でもきっとそれを生かして、アジア王者の座を掴んでくれるはずだ。
(取材・文/中地拓也)

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