
川崎フロンターレが挑んだACLE準決勝アル・ナスル戦前日の4月29日、キング・アブドゥッラー・スポーツシティ・スタジアムでは一方的な質問が次から次へと飛んでいた。
長谷部茂利監督と橘田健人が登壇した公式会見で、現地メディアからは東地区を“下に見る問いかけ”が繰り返されたのだ。
「東地区で勝ち上がったのは川崎フロンターレだけで、西側地区との違いはどう感じるか」
「勝ち上がったのはサウジアラビアの3チームだが……」
「東地区から勝ち上がっている唯一のチームとなったがそれに対する思いと、今後の東地区のサッカーについて……」
しまいには、「川崎は明日の試合に勝てるのか」という質問まで投げかけられたのだ。
現地ではそうした空気が充満していたが、選手も監督も冷静だった。橘田がその空気感の中で「東アジアでは1チームしか残ってないですけど、最後に残るのも1チームです。自分たちがそこに立てるように、目の前の試合をしっかり戦っていきたい」と言い切ったことに象徴されるように、他の選手も取材対応の機会に冷静な気持ちをのぞかせていた。
「選手は名前でプレーしていない」
この言葉が複数の選手、そしてチーム関係者から聞こえていた。