■出されていた明確な指示
先に答えを書けば、2人は45分限定での起用だった。そしてその狙いはクロアチア代表MFマルセロ・ブロゾヴィッチを抑えることである。
「相手の11番にいい形でボールを入れない、何ならボールを触らせないぐらいの消し方をしてほしい」
2人にはこうした明確な指示が出されていた。
大関は試合後、安堵した表情で「奏真と僕が使ってもらう意味は、ブロゾヴィッチを消せる走力だったり、若さで補う部分もそうですけど、中2日で厳しい中でフレッシュな2人が行けるのは“チームの強み”だったと思うので、そこをタスクとして自分に課しました」と振り返る。
前線でコミュニケーションを取りながらそのタスクに取り組んだ神田奏真も、「ブロゾヴィッチを切ることで、相手の攻撃が始まらないと思っていました」とその意識を明かしたうえで、「ブロゾヴィッチが前半の途中でイライラしているのは分かったので、(前線2人の働きが)“効いているな”と思っていました」とも自信を見せた。
欧州で結果を残してきた選手が数多くいるアル・ナスルにおいて象徴的な存在はクリスティアーノ・ロナウドだが、チームとして最も警戒していたのはブロゾヴィッチだったのだ。
試合翌日に長谷部茂利監督に話を聞けば、「2失点したことはプラン通りではないですけど、それを抑えていればプラン通りでした」と明かし、さらに、「結果を取るためには昨日のような戦い方が一番可能性が高いんじゃないかと思っていたので、プラン実行をできて良かった」と笑顔を見せた。