■青空対談で話していたこととは

「少し、話をしたいです」
 その選手は、そう切り出したという。
「じゃあ、話そう」
 長谷部監督はそう応じると、「試合に出たい」という気持ちを伝えた選手とすり合わせをした。
「こういうところが課題だし、こういうところよくしてくれ」
 その内容は分からないが、監督自身、今のチームにおいて出してほしいことを言葉にしたのだという。それが、あの対話だった。
 選手からそうした申し出があれば今までコミュニケーションを取ってきたのか尋ねれば、「はい、全然ウエルカムです」と話すのは指揮官。「私は面談をやらないんです。例えば、キャンプの時に一人ずつ全員呼んで、10分、15分と話したりする監督さんがいますけど、私はそういうことをしなくて、いつでも扉を開いてて、”どうぞ”って感じです」とも言う。
 選手ごとに求めることを伝えるのか、そう投げかければ、「そういう場合もあるし、その態度じゃまずいぞという叱る時もあるし。でも、私から話すことは(練習中やミーティングなど)もう四六時中ありますね。プレーについて今のこうだああだ、今日もそうですけども、ちょっと呼んでこうだよって話したりしますけど。選手から来るっていう時はだいたいそういう、自分の課題をすり合わせることが多いですね」と説明する。指導者としての姿勢が感じられる回答だった。

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