■エンブレムが重なった縁を大事に
プロサッカーの宿命として、多くの選手が長くは同じクラブでプレーできない。数年でチームを離れることが多く、1年で去ることも少なくない。
そうした選手を対戦時に優しく迎え入れるのもこのチームの特徴である。クラブそれぞれの雰囲気や結果によってすべてはかなわないが、古巣戦となった選手は試合後にGゾーンの前でトラメガを持つ。一度、青黒のユニフォームに袖を通せばずっと続く縁なのだ。そして、胸の上に掲示されたエンブレムが異なっても、その胸の下に秘められたエンブレムが少しでも重なるのであれば、全力で応援するのだ。
だから、スポンサーに対しても全力の感謝を伝える。横断幕を作ってそれぞれのスポンサーに送るメッセージは本当の意味でのチーム愛だ。
勝つために叫ぶサポーターはいつだってここにいる。その行動と言葉がチームを育てていく物語は、きっとずっと続く。青黒の魂を見せつけながら。
(取材・文/中地拓也)
【その9「松坂一輝」へ続く】