■サウジアラビアで見せた魂
そのACLは、ACLEと名称を変えた。そして川崎フロンターレは今年4月から5月にかけてサウジアラビア・ジェッダで行われたファイナルズへと駒を進めた。アジア青覇を懸けた夢の舞台。それはチームにとってもサポーターにとっても同じ。だからこそ、試合に合わせて多くのサポーターが駆け付けた。
日本からジェッダまで直行便はない。ドーハやドバイ、イスタンブールで乗り換えれば1度の乗り換えで行けるが、料金的にかなり高い。時間も20時間近くかかる。料金を安くしようと思えば2度以上の乗り換えが必要で、その場合、移動時間が40時間近くかかるものもある。
そうしたものを乗り越えて、準々決勝には500人ほど、決勝には700人ものサポーターが駆け付けた。当初、準々決勝の1試合だけを観戦する予定だったサポーターが、帰国後、いてもたってもいられなくなって再度、サウジアラビアの地を踏んだ例もある。
クラブの悲願を後押ししたい――。
その思いが人数になって表れたのだ。決勝では周囲を囲まれた状況での応援だったが、それがいかに誇らしかったか。クラブの関係者は誰しもが思ったはずだ。
そして、敗戦後の涙を流す選手に向けられたエールの数々も、このクラブのサポーターらしい。前を向かせるという一点に、すべてが注がれている。