■前半は山形がシーズン7本、磐田が0本

 対する山形は、自陣からパスをつないで前進しつつ、ロングパスも使っていく。左CB安部崇士が、DFラインの背後を狙うCFディサロ・燦・シルヴァーノや右ウイング氣田亮真へパスを通す。自陣からのビルドアップだけでなく、一番前を意識的に見るのが山形のスタイルである。

 前半終了間際の44分には、CBの間に落ちたボランチの高江麗央が右サイドの氣田を走らせる。氣田はマッチアップする松原と競り合いながらボールを収め、トップ下の土居聖真につなぐ。土居がペナルティエリア右外からクロスを入れると、ディサロがヘディングシュートを浴びせた。

 山形がロングフィードからこうした場面を作り出せば、磐田のDFラインは後方への警戒を強めていくと考えられる。それによって、ミドルサードでスペースを見つけやすくなる。ダブルボランチやトップ下の土居が、スペースを見つけやすくなる、という効果が見込める。

 磐田もCFマテウス・ペイショットへのロングフィードを使う。ただ、相手DFラインの背後へランニングするのではなく、プレス回避の縦パスの意味合いが強い。

 前半は両チームともに無得点で終えた。シュート数は山形の7本に対して、磐田は0本だった。試合内容にそこまでの開きはなかった印象で、前半の攻撃が得点への布石となるのは、果たしてどちらのチームになるのか。

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(2)へ続く
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