■松村優太の活躍の道筋
松村などは、1年前の今頃はランコ・ポポヴィッチ監督から構想外に近い扱いを受けていた。パリ五輪本番を控え、本人はパフォーマンスを落とさないように必死に自主トレをこなして出番を窺っていたが、コンスタントに起用されるまでには至らず、五輪は選外。7月には東京ヴェルディへのレンタル移籍に踏み切り、右ウイングバック(WB)やシャドウなど幅広いポジションを経験。フィジカル的なタフさも向上させたうえで鹿島に戻ってきた。
その好調ぶりが今季スタートから印象的で、鬼木監督も「数少ないドリブラーを有効活用したい」という思いがにじみ出ていた。指揮官にしてみれば、川崎フロンターレ時代のマルシーニョのように個で違いを作ってほしいと願っていたのだろう。
その思惑を松村もしっかり汲み取り、攻守両面でハードワークを前面に押し出している。柏戦の2点目も彼の守備強度やスピードがかなり効いていたが、「試合前からどんどんクロスを上げていくという話をしてましたし、それで中の選手も意識を持って入ってきてくれた」と本人はレオ・セアラらの献身に感謝していた。こうやって中と外の意思疎通が密になれば、彼自身のお膳立ても増えるし、FW陣のゴール数もアップする。その道筋が見えてきたことも好材料と言っていい。